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2007年10月

2007年10月31日 (水)

プロジェクトマネージャーの育成 
メンバーのモチベーションを高めてチームを活性化させる「チーム・マネジメント」のあり方(2)

Tsuchiya みなさん、こんにちは
(株)富士通ラーニングメディアの土谷です。

前回に引き続き、ASCII.jp キャリア(http://ascii.jp/cate/21/)に連載中の記事、プロジェクトマネジメントを成功に導く「本当の実力を養う最強プロマネ講座」をご紹介します。

今回は、前回に引き続きチーム・マネジメントについてです。

前回の記事はこちら

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チーム・マネジメント、プロジェクトマネージャーがするべきこと
 コミュニケーションの核となるのは、よく言われている「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」です。新入社員研修にもよく組み込まれ、入社当初はマメにできている人が多いでしょう。しかし、社会人経験を重ねていくと徐々にホウレンソウができなくなる傾向があります。その原因には、報告する側のタイミングの悪さと、受ける側の聞く体制や反応に問題があると考えられます。

 プロジェクトマネージャーとしては、ホウレンソウができない原因を「報告する側のタイミングの悪さ」とは捕らえず、チームの環境に問題がある─本当のことが言えないチームの雰囲気─だと捉えるべきでしょう。「タイム・マネジメント」の回(注1)でも解説したように、問題を報告しやすい、相談しやすい雰囲気が作りができていないのです。よいことでも悪いことでも、本当のことが言える環境を作るのが大切であり、問題が発生する前、また問題が起きそうなときにプロジェクトマネージャーに報告・相談できる環境を作ることが重要です。

今から簡単にできるチーム・マネジメント向上方法
 プロジェクトマネージャーはチームをとりまとめるために、よくも悪くもメンバーからの正しい情報を聞く必要があり、メンバーが報告しやすい環境を作るべきであることは先にも触れました。そこで、すぐにでもできて効果のある簡単な方法を紹介します。

 まず、机の上をきれいにすること。机が書類で溢れていたりすると、メンバーは「プロジェクトマネージャーは忙しい」と思ってしまい、ホウレンソウをしにくくなります。

 また、プロジェクトマネージャーからメンバーへ呼びかける、つまりホウレンソウすることは効果的です。普通ホウレンソウというと、メンバーからプロジェクトマネージャーへの下から上への一方通行と考えるかもしれませんが、積極的に上から下へ、つまり自らが見本を示すことで、ホウレンソウはメンバーに浸透していくことでしょう。

 メンバーにホウレンソウさせるテクニックを使うことも時には必要です。簡単な聞き出しのテクニックとしては、メンバーの話した事を繰り返す「オウム返し」の方法があります。単純な方法のようですが、ただメンバーの言った言葉を繰り返しているだけなのに、話す側は認められたように感じ、もっと話しをするようになります。

 さらに、仕事を離れたところでのスポーツ大会や飲み会もチーム・マネジメントに効果があるでしょう。社外でメンバー同士が顔を合わせることで、仕事以外の横顔を見ることができ、「あ、この人はこんな側面があるのか」と発見し、親近感が生まれます。

 このようにプロジェクトマネージャーは、ホウレンソウがしやすい環境作りに努めなければなりません。それと同時に、メンバーのやる気が低下するような状況を回避していく必要もあります。例としては、プロジェクトの進行が遅れる原因で多い、メンバーが作業について悩んでいる状況です。悩みに悩んで出した結果が間違っていることもよくあり、その時はプロジェクトマネージャーはやり直しを言い渡さなければなりません。これはメンバーのモチベーションを大きく低下させます。そうならないためにも、プロジェクトマネージャーはメンバーが迷っているときに、また普段からも声をかけるなどして方向性を示したり、ジャッジしてあげることが大切です。

プロジェクト成功のポイント
・メンバーがコミュニケーションしやすい環境をつくる
・プロジェクトマネージャー自らがホウレンソウをする
・プロジェクトマネージャーはチームの行動を観察し早いジャッジメントを心がける

注1:タイム・マネジメントの回は、こちらからご参照ください。
プロジェクトマネージャーの育成 目先の進捗に捕らわれず、大きな視点で見るのが「タイム・マネジメント」(1)

プロジェクトマネージャーの育成 目先の進捗に捕らわれず、大きな視点で見るのが「タイム・マネジメント」(2)

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このブログでご紹介したスキル診断が対応しているITスキル標準の職種プロジェクトマネジメントも、このPMBOKに対応しています。
以下の記事もご参照ください。

→ 「スキル診断の結果より~職種・専門分野ごとのスキル状況(1)~」の記事

次回は、「コミュニケーション・マネジメント」についてです。

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2007年10月30日 (火)

プロジェクトマネージャーの育成 
メンバーのモチベーションを高めてチームを活性化させる「チーム・マネジメント」のあり方(1)

Tsuchiya みなさん、こんにちは
(株)富士通ラーニングメディアの土谷です。

前回に引き続き、ASCII.jp キャリア(http://ascii.jp/cate/21/)に連載中の記事、プロジェクトマネジメントを成功に導く「本当の実力を養う最強プロマネ講座」をご紹介します。

今回は、チーム・マネジメントについてです。 

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チームが機能しないという事態
 プロジェクトのメンバーが増えるほど、困難になるのがチーム・マネジメントです。プロジェクトはメンバーが連携して進めていくため、メンバー同士やメンバーとプロジェクトマネージャーとの意思の疎通の欠如は、そのままプロジェクト進行の妨げになります。特にチームにとって不都合な情報は滞りやすく、問題が膨れ上がり表面化してからプロジェクトマネージャーの元へ到達、その時はすでに収拾が困難な状況に陥っているという失敗が起こりがちです。

 また、一度プロジェクトにとってよい情報だけが流れ、悪い情報が隠される傾向が生まれてしまうと、さらに悪い情報がプロジェクトマネージャーの元に届けられないチーム状態になってしまうこともあります。こうなるとプロジェクトに内包された問題がより大きくなってしまい、チームは混沌とし、プロジェクトは破綻を来す恐れも出てきます。

 そのため、プロジェクトマネジメントで重要とされるのが、チーム・マネジメントなのです。

チーム・マネジメント、プロジェクトマネージャーがするべきこと
 メンバーのやる気を起こさせ、チーム力を高めるのもプロジェクトマネージャーの仕事であり、チーム・マネジメントです。それにはメンバーがお互いに信頼できる人間関係を築けていることが大前提になります。信頼関係があればメンバーは活力を持って同じ目的に向かってプロジェクトを進めることができます。そうするとメンバーは自分の担当している仕事の意義が認識できるようになり、それがやる気につながるでしょう。

 たとえば、チームにとって必ず必要となる情報を、人の体内における「酸素」だと考えてみてください。この酸素はチームに活力を与えてくれる存在であり、各メンバーに酸素が行き届かないとチームは死んでしまいます。そこで、酸素という情報を行き渡らせるのに「血液」が必要になるわけです。この血液の役割を担うのが、コミュニケーションです。つまり、チーム内のコミュニケーションがうまくいくことで、ひいては情報がチーム全体に行き渡ります。それが、メンバー1人1人にチームがどこに向かっているのか、そして自分は何をすべきかを明確にさせ、チームとしての統一感が生まれてくるのです。

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2007年10月25日 (木)

プロジェクトマネージャーの育成 
「品質・マネジメント」でプロセスを管理して品質を保つ (2)

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今回は、前回に引き続き品質・マネジメントについてです。

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品質監査は嫌ってはいけない
 品質保証の方法の1つに「品質監査」あります。品質監査とはプロセスがルールどおりに進められているかをチェックする作業で、通常プロジェクト外の第3者が行ないます。工程の途中で定期的に行なうことで、ルール違反を発見し、プロジェクトが違う方向に進むことや品質の維持が困難になる状況を回避できます。特に、上流工程は、ルールに反して簡単に済ませようと思えばできてしまうので、しっかりした管理が必要となります。

 しかし、このように重要な作業にも関わらず、品質監査はしばしばプロジェクトマネージャーにはイヤがられます。それは、内部で品質保証が徹底できていないということがあるかもしれません。しかし、品質監査をする監査人からの意見は、仮に厳しく指摘されたとしても真摯に受け止めるべきです。その指摘は、プロジェクトをよりよい方向に導くでしょう。

監査人に意見を求めるくらいの姿勢が大切
 現場でも品質監査で何も指摘されなければそれを“よかった”と考える傾向が強いようです。しかし、指摘が何もないということは、それ以上、品質が向上することはないことを意味すると捉えてください。そして実際は、指摘することがないというのはありえないはずです。無駄なプロセスはないか、改善するところはないかなどを監査人が指摘し、プロセスをよりよくするのが品質監査の本来の役割だと考えるといいでしょう。

 プロジェクトマネージャーは、進んで品質監査を受ける姿勢が大切です。常にルールどおりにプロジェクトを進行させていれば、本当は何の問題もなく、監査人にも「何も指摘することがない」と言われることでしょう。でもそこで、きっと何かあるはずだと考えて、「他のプロジェクトではどんなことをしていましたか」とか「これまでにうまく行った方法はありますか」と聞き出すくらいの意識があってもよいと思います。品質監査はダメな点を指摘するためではなく、改善のための意見を聞く機会だということを今一度考えてみてください。監査人の指摘がよりよいプロセスを生み、そのプロセスによって品質が高まるのです。

プロジェクト成功のポイント
・品質保証はプロセスを管理することで、成果物の品質を保つという考えである
・品質監査はよりよい品質のために喜んで受けるべきである
・あまり厳しいルールを決めてしまうと、品質保証が機能しない

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2007年10月23日 (火)

プロジェクトマネージャーの育成 
「品質・マネジメント」でプロセスを管理して品質を保つ (1)

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今回は、品質・マネジメントについてです。 

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品質確保のためのルールが現場で守られていない
 プロジェクトは多くのメンバーの手で進められるので、最終成果物の品質を確保するために、プロセスの手順や進め方などのルールを決めます。各メンバーがそのルールに従って仕事をすれば、そのプロジェクトが成功する可能性が高くなります。

 しかし現場では、プロセスが進むにつれてメンバーが徐々に自分なりのやり方で進めるようになってしまうことがよくあります。その結果、システムの保守管理作業の際、ルールどおりに修正を加えたにも関わらず、不具合が生じるなどのトラブルが起こります。これではプロジェクトが完了したとしても、プロジェクトの成功とは言えません。

ルールを守ることの重要性をメンバーが理解していない
 このような事態を防ぐため重要となるのが、PMBOKガイドにおける品質・マネジメント(注1)の「品質保証」です。品質保証は、プロセスを管理して最終的に製品の品質を保つという、つまりプロジェクトのスタート時や途中で決められたルールどおりに作業が行なわれているかを管理するというものです。これらがきちんと行なわれていれば、自ずと最終成果物の高い品質につながります。

注1:品質・マネジメント
国際資格「PMP(Project Management Professional)」のバイブルとも呼ばれるPMBOKガイドに書かれた9つの知識エリアの中の1つ。プロジェクトが意図するニーズを満足させるために必要なプロセス群のこと。プロセスには、品質計画、品質保証、品質管理の3つがある。
 そこで品質・マネジメントのポイントとなるのが、このプロセス―どういう手順や工程で仕事を進めていくか―のルールを決めることと、どうやってそのルールに則ってプロジェクトを進めていくかです。

 たとえば冒頭で述べたような、プロジェクトのメンバーがスタート時にきちんと守れていたルールを、時間が経過するに従って自分がやりやすい方法に変えてしまうというケースは、その原因の1つとして「なぜルールどおりに進めないといけないのか」ということをメンバーが真に理解していないことが考えられます。

 プロジェクトマネージャーは、プロジェクト開始時にメンバーの理解を得る努力が必要でしょう。また、ルールが守られない原因として、ルールが厳しすぎることも考えられます。しっかりルールを決めるのは重要ですが、あまりにも厳しすぎるとメンバーの首をしめることになります。厳しすぎるルールはあってないが如しになるのです。
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2007年10月18日 (木)

プロジェクトマネージャーの育成 見通しの甘さを排除する正しい「コスト・マネジメント」のあり方(2)

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リスクを考慮した予備費を計上していない
 コストマネジメントのポイントは、見積もりの予算に予備費を組み込むことです。その予備費はリスクを考慮して計上します。一般的には+10%~15%程度の確保は必要です。予備費を取れば、オーバー分を予備費が吸収し、問題も起こらないかもしれません。予備に使えるお金がないと、コストを抑える手段を選択しがちになり、プロジェクトマネージャーの打てる手数も少なくなってしまいます。

 予備費に関しては受注側が確保するのはもちろんですが、発注者側も確保します。受注側、発注側の双方が予備費を持っていれば、それぞれの問題やリスクへの対応が可能になります。

 また、ITのプロジェクトでよくあるのが“とりあえず進めましょう”と曖昧なままプロジェクトを進行してしまうことです。ビルや橋を造る建設業と違って、ITの場合、後でなんとかなる(プログラムの修正はすぐできる)という意識が発注者側にあります。発注者はあまりお金もかからず、すぐに直せるだろうと考えがちなのです。しかし、もちろん簡単には修正できませんし、修正するには相応のコストがかかります。さらには、システムの構造も劣化してしまいます。一度やった仕事をまたやり直す修正の手戻り作業をするのが1番よくない事態でしょう。本来その時間でほかの仕事ができるので、機会を損失していることにもなります。手戻り作業で作り直すことは2倍のコストがかかると考えてください。それに、手戻り作業はメンバーにとって精神的にもつらいものです。

スコープがコストに最も影響する
 コストに最も影響するのは、以前解説したスコープ(注1)です。スコープが曖昧だとコストの見積もり精度が低く、前述のような手戻り作業も発生する可能性が高くなります。できるだけ早い段階でスコープの曖昧さを排除し、確実なものにしていくことに努めるべきです。スコープの早期確定、そしてリスクの想定、問題の早期発見。これらの意識が、結果的にコストの超過を防止していくことにつながります。

プロジェクト成功のポイント
・受注側、発注側双方が予備費を必ず確保する。
・見積もりの算出の場合は組織のプロセス資産を生かしコストの項目を漏らさないようにする
・コスト見積もりは精度を上げるために繰り返し見積もる。

注1:スコープの回は、こちらからご参照ください。
プロジェクトマネージャーの育成 WBS作成で、成果物と作業内容を明確にするのが「スコープマネジメント」(1)

プロジェクトマネージャーの育成 WBS作成で、成果物と作業内容を明確にするのが「スコープマネジメント」(2)

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2007年10月16日 (火)

プロジェクトマネージャーの育成 
見通しの甘さを排除する正しい「コスト・マネジメント」のあり方(1)

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今回は、コスト・マネジメントについてです。 

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コストに対する見通しが甘い
 大きな規模のプロジェクトほどコストは大きくなります。そして規模が大きくなればなるほど、予算の全体像を把握するのが難しくなり、プロジェクトが進むにつれてコストが拡大、気がついたら予算オーバーという失敗が起きやすくなるのです。しかし、プロジェクトの途中での仕様変更の発生やスケジュール変更は致し方ない部分はありますが、予算オーバーだけは避けなければなりません。

 予算オーバーの原因として多いのは、予算を組むときにコストを算出する項目の洗い出しが不十分で、計上すべき項目が漏れていたり、リスクを想定した予備費を確保していなかったりすることです。

 ユーザー(発注側)にとって、一度稟議を通して決定した後の予算の追加は、再度1つずつ稟議を通していかなくてはならないので非常に手間がかかりますし、また認められないこともあります。そういった際に、受注側がオーバーしたコストを負担せざるを得ない状況も発生し、WIN-WINの関係が成り立たなくなってしまいます。それではプロジェクトは完了しても「失敗」と言わざるを得ないでしょう。

スタート時のコスト見積もりは1回のみ
 コストについては、コストを管理するためのコスト・マネジメントが必要です。コスト・マネジメントとはコストの見積もり、予算化、コントロールからなる管理プロセスです。特に見積もりについては、最初から正確な見積もりはできないことを認識する必要があります。プロジェクトスタート時の見積もりはPMBOKガイドでも「-50%から+100%の超概算」とあり、それが「概算見積もり」→「予算見積もり」→「確定見積もり」(図1参照)と経過を経て金額がフィックスされていくことが書かれています。見積もるタイミングで手法が異なり、作業項目が明らかになっていくことによって見積もりの精度が徐々に上がっていきます。

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図1:PMBOKガイドで解説される見積もり精度による分類。
プロジェクトが進展するにつれて、見積もり精度は高くなっていく

 プロジェクトというものはその進行に従って、何をすべきか、そしてどれくらいの時間がかかり、必要なリソースは何かなども判明していきます。そこからそれぞれのコストが明らかになるのです。注意すべきことは、見積もり算出のための項目を漏らさずリストアップするということ。項目が漏れると、“予算オーバー”の失敗となる可能性があります。では、項目を漏らさないためにはどうすべきなのか。そこで、WBSの回でも解説した(注1)「組織のプロセス資産」を生かすことが必要となります。つまり、コストに関しても重要なことは、曖昧さをなくすこと、過去の教訓を生かすことが重要なのです。このようにコスト・マネジメントは特にプロジェクトの利益が上がるのか、また赤字になるのかにダイレクトに影響しますので確実にやりましょう。

注1:WBSの回は、こちらからご参照ください。
プロジェクトマネージャーの育成 WBS作成で、成果物と作業内容を明確にするのが「スコープマネジメント」(1)

プロジェクトマネージャーの育成 WBS作成で、成果物と作業内容を明確にするのが「スコープマネジメント」(2)

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2007年10月12日 (金)

プロジェクトマネージャーの育成 
目先の進捗に捕らわれず、大きな視点で見るのが「タイム・マネジメント」(2)

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報告の“0-100ルール”
 進捗報告の仕方について注意事項がもう1つあります。進捗会議では「今80%終わっています」という報告がよく聞かれますが、この「80%」というのが問題です。80%と聞いて「もう80%」と思う人と「まだ20%残っている」と考える人では、進行状況の把握に大きな差があるでしょうし、さらには残りの20%が実は困難な作業ということがよくあります。これらの問題を解決するには「報告のルール」を決めることが必要です。例としては、プロジェクトの個々の案件について途中であればすべて0%、終われば100%という「0-100ルール」、着手したら50%、終了で50%という「50-50ルール」など明快な報告のルールなどがあります。

 また、報告のための作業単位も気を付けて下さい。毎週1回の進捗会議なら、1週間で作業単位を決めておくとよいでしょう。1ヶ月単位の作業になると進捗が曖昧になるものです。

 さらに、プロジェクトマネージャーとしては、進捗報告の受け方にも注意を払って下さい。遅れが報告された場合は、その遅れを個人の責任にして、報告した個人を責めないことが大切です。プロジェクトの遅れは個人の問題ではなく、プロジェクトの全体の問題だと意識するべきです。遅れの報告に対してきつく責めるようでは、メンバーは遅れを報告しにくくなるのです。それでは問題の発見が遅れ、原因を排除することができません。

 進捗報告に限った話ではないのですが、プロジェクトマネージャーはメンバーがコミュニケーションを取りやすい環境を作る必要があります。そうすることで、遅れや、問題点などの情報がどんどんあがってくるようになるのです。このことは、プロジェクトをより洗練させていくためにはとても重要だと言えます。プロジェクトマネージャーは「何でも聞くよ」という話しやすい雰囲気を作るべきでしょう。報告や相談の中からリスクを考え、先手の予防をする。これはプロジェクトマネージャーの意識として常に心がけるべきです。

メンバーにやる気を起させる、プロマネの手腕とは
 さて、タイム・マネジメントのための進捗方法に関して解説してきましたが、リソース(要員や予算)を調整してスケジュールを作る際には、必ずバッファ──時間的余裕──を持たせるようにして下さい。最初から無理な計画を立ててしまったらタイム・マネジメントも何もありません。リスクを考慮して、割り出された全体のスケジュールの最後にバッファをつけましょう。

 さらに、たとえばスケジュールを組む場合、まずは現実的な生産性から割り出された時間でスケジュールを組みます。次に、メンバーが少し努力すると達成できる程度だけタイトにすると、メンバーのモチベーションを高く保てます。あまりにタイトであるとメンバーは「できるわけない」とやる気をなくしますし、緩すぎるのもだらけてしまう可能性があります。メンバーにやる気を起こさせ、努力が報われるスケジュールを作ることがタイム・マネジメントのポイントでもあるのです。

プロジェクト成功のポイント
・プロジェクトが遅れていたら、すぐに遅れを取り戻そうとするのではなく、遅れの真の原因を追及する
・進捗報告のルールと報告作業の単位を明確にする
・プロジェクトの遅れをはじめ、問題点などを報告しやすい環境を作る

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2007年10月10日 (水)

プロジェクトマネージャーの育成 
目先の進捗に捕らわれず、大きな視点で見るのが「タイム・マネジメント」(1)

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正しい進捗会議のススメ

プロジェクトが進行していくに従って、個々の作業が順調に進んでいるのか、それとも遅れているのかを報告する進捗会議が開かれます。ここではよく「前回に比べて遅れています」とか、「前回に比べて進んでいます」という報告がされます。それを聞いたプロジェクトマネージャーが、遅れている部分を取り戻す対策を打ったり、順調に進んでいるから心配ないといった判断をします。

 これだけ聞くと何ら問題がないように聞こえるかもしれません。しかしこれは、現場で起こりがちなプロジェクトマネジメントの失敗例なのです。問題は、進捗状況を判断する対照が間違っていることです。前回の会議時の進捗と比べていては、目先の遅れを取り戻すその場しのぎの対策しかとれず、プロジェクトは計画からどんどん遠ざかってしまう可能性があります。それを回避するには、進捗会議を正しい方法で行なうことが大切です。

“計画に対して”進捗報告をすること

 正しく進捗会議を行なうには、第一にプロジェクトメンバーの全員が共通の認識を持たなければなりません。このことは、PMBOKガイドでも「タイム・マネジメント(注1)」で触れられています。具体的に言うと、進捗報告を「前回に比べて」ではなく、「計画に対して」で必ずしてもらいます。まずはこれを徹底しましょう。前回の会議での進捗と比べていては、木を見て森を見ずの状態になってしまい、プロジェクトの進行状況が正確に見えなくなってしまうのです。そして、遅れが判明した場合は、すぐに遅れを取り戻す対策を打つのではなく、遅れている真の原因を追及することを優先させて下さい。そうすることで、この原因による、次の工程、さらにその次の工程へのリスクを予防することができます。逆にそうしなければ、また同じような遅れが発生する可能性が生まれてしまいます。

注1:タイム・マネジメント
国際資格「PMP(Project Management Professional)」のバイブルと呼ばれるPMBOKの知識エリアの1つで、プロジェクトを所定の時期に完了させるために必要なプロセス。

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2007年10月 4日 (木)

プロジェクトマネージャーの育成
WBS作成で、成果物と作業内容を明確にするのが「スコープマネジメント」(2)

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WBS作成の効果とは
 WBSを作成することは、見積もりの精度を上げることにつながります。WBSの作成は必要な作業を細かく分解していくことになるので、1つ1つのコストが明確になり、自ずと全体にかかるコストが明瞭化し、見積もりの精度も上がるというわけです。これはコストだけでなく、スケジュールに関しても言えることです。1つに掛かる作業時間がわかれば、全体でどれくらいの時間が必要か算出できるでしょう。

 逆に言えば、WBSから必要事項が漏れると、スケジュールから漏れ、役割分担から漏れ、コスト見積もりから漏れることになります。

 しかし、作業を具体的にわかりやすくするためとはいえ、WBSの粒度をあまり細かくしすぎると逆に煩雑になってしまう可能性があります。WBS作成は特にこうすべきという決まりはありませんが、自分がマネジメントしやすい粒度にするといいでしょう。また、それぞれの項目を同じ階層にする必要もありません。自分が把握できない項目がわかるようになるまで細分化すればいいのです。あくまで、プロジェクトを管理しやすいスケールや階層に分けるということです。

 たとえば、開発環境を作成する作業など、繰り返し実施していることは作業内容もわかっているのでそれほど細かくしなくてもいいでしょう。一方、新しい業務システムを開発するなど経験のない作業の場合は、ある程度の細分化が必要となります。

 また、業務システムの開発の作業項目だけでなく、旧システムからのデータの移行が必要なのか、オペレーション訓練は必要なのかなど、周辺の作業についても作業に漏れがないようにWBSを作成します。WBSを作成するのは非常に大変ですが、プロジェクト成功のためにはとても重要な作業と言えます。それぞれが重複することなく、全体として漏れがないMECE(注1)の考え方によるといいでしょう。

注1:MECE(Mutually Exclusive Collectively Exhaustive)
MECE(ミッシー)とは、世界的なコンサルティングファームであるマッキンゼー社が考えたコンセプトで、ビジネスにおける問題分析を行なう上で重要な考え方。

WBSはプロジェクト進行中も常に見直しが必要

 さて、WBSの作成においても、キーワードになるのが「組織のプロセス資産」です。組織のプロセス資産とは簡単に言うと、先輩が蓄積してきたプロジェクトの計画書や事例書に書かれていることや、経験者や専門家の意見を参考にすることです。何もないところからWBSを作ろうと思っても難しく、漏れや間違いなどが起こる可能性が高いと思います。過去の事例を参考にする際には、前回のプロジェクト時に漏れていて後に補足したところや、トラブルになったところなどは、問題を掘り下げる意味でも特に注意を払ったり、詳細にしたほうがよいでしょう。

 WBSは漏れがないようにと言いましたが、プロジェクトの立ち上がり段階から完璧に作り上げる必要はありません。最初は上位のものだけで、詳細がわかるにつれて階層を増やしていけばいいのです。つまり、プロジェクトを進行していく上で徐々に詳細化していくというわけです。

 また、このとき「目標(制約条件)」と「目的」を混同しないことが大切です。プロジェクトは大きな目的があって進むわけですから、コストを削減するとか、スケジュールを短くするなど目の前の「目標」に惑わされないようにしましょう。目的が目標にすり替わってしまうと、作成されるWBSにも最終成果物にも影響が出ます。大きな目的を達成するのに必要な作業を明確にするのがWBSであることを今一度確認してください。

プロジェクト成功のポイント

・プロジェクトの曖昧さを無くしていくのがスコープマネジメント
・WBSの項目は全体として漏れがないようにしなければならないが、最初から完璧にはできないので順次詳細化して精度を高めていく
・WBSも組織のプロセス資産を生かし、先輩、経験者、専門家などの意見を積極的に聞く

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このブログでご紹介したスキル診断が対応しているITスキル標準の職種プロジェクトマネジメントも、このPMBOKに対応しています。
以下の記事もご参照ください。

→ 「スキル診断の結果より~職種・専門分野ごとのスキル状況(1)~」の記事

次回は、「タイムマネジメント」についてです。

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WBS作成で、成果物と作業内容を明確にするのが「スコープマネジメント」(2)"

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2007年10月 2日 (火)

プロジェクトマネージャーの育成
WBS作成で、成果物と作業内容を明確にするのが「スコープマネジメント」(1)

Tsuchiya みなさん、こんにちは
(株)富士通ラーニングメディアの土谷です。

前回に引き続き、ASCII.jp キャリア(http://ascii.jp/cate/21/)に連載中の記事、プロジェクトマネジメントを成功に導く「本当の実力を養う最強プロマネ講座」をご紹介します。

今回は、スコープマネジメントについてです。

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スコープの曖昧さは“大きなツケ”に
 失敗プロジェクトの多くは、その理由としてスコープが明確でなかったことが挙げられます。スコープとは、開発するシステムの機能や成果物であり、そのシステムを開発するために必要な作業の範囲のことを言いますが、それらが曖昧であると、工程の後半になって追加の機能や変更が発生してしまい、手戻りの作業が発生することがあります。 後から追加や変更があるということは、その対応が工程の後ろであるほどコストはかかるものです。打つ手(対策)の選択がなくなる場合もあるのです。

 また、スコープにおいて“成果物は何を持って完成したとするのか”をあらじめ決めておくということも大切です。完成した成果物の受け入れ基準が決められているか、あるいは作業の完了基準が定められているかということです。この完成の基準や完了の基準がないと、作業をやり続けたり、あるいは期日がきたからいきなり終わります、ということになりかねません。

 つまり、これらのように“スコープの曖昧さ”をいかに早く排除するか、がプロジェクトを成功させるコツと言えるのです。まず、ゴールを決める。そのプロセスを明確にする。曖昧さをできるだけ早く排除する。排除できないものは、文書として残しリスクとして関係者で共有しておくことが肝要となるのです。

WBS作成の効果とは
 それでは、曖昧さを排除するために具体的にはどうすべきなのか。 PMBOKガイドに登場する「スコープ・マネジメント(注1)」のWBS(Work Breakdown Structure)の作成があります。WBSとは、プロジェクトの成果物(最終成果物)をより細かい要素(成果物)に分解したもので、どのような成果物を作る必要があるか、そのためにはどのような作業をすべきかをより具体的に記述していくものです(図1参照)。WBSを作ることで最終成果物と作業内容がより明確になるのと同時に、プロジェクトメンバーやお客様との役割分担が明確になります。

図1: 管理についてのWBS作成例

20071002_3











注1:スコープ・マネジメント
国際資格「PMP(Project Management Professional)」のバイブルとも呼ばれるPMBOKガイドに書かれた9つの知識エリアの中の1つ。プロジェクトの最終成果物や作業範囲などを明確にするマネジメント。

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このブログでご紹介したスキル診断が対応しているITスキル標準の職種プロジェクトマネジメントも、このPMBOKに対応しています。
以下の記事もご参照ください。

→ 「スキル診断の結果より~職種・専門分野ごとのスキル状況(1)~」の記事

次回は、ひき続き「スコープマネジメント」についてです。

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